2週間のイテレーションを12回行うアジャイル・プロジェクトの最初のイテレーション・レビューでステークホルダーから今後月次で報告書を提出するように言われました。PMはどうすべきでしょうか?「月次のイテレーション報告書の作成をチーム・メンバーに指示する。」 「月次報告書を作成してステークホルダーに送付する。」 「ステークホルダーにアジャイルの方法論に関するコーチングとメンタリングを行う。」 「ステークホルダーに月次でイテレーション・レビューに参加してもらう。」

→ステークホルダーにアジャイルの方法論に関するコーチングとメンタリングを行う。

ステークホルダーがアジャイル・プラクティスを十分に理解していないので、プロジェクト・マネジャーはコーチングとメンタリングの時間を取り、ステークホルダーの理解と認識の向上を図ります。これによりステークホルダーは、アジャイルのフレームワークに従ってフィードバックや情報に基づく意思決定ができるようになります。アジャイル環境では、頻繁(この事例では2週間)かつ反復的なフィードバックを重視します。イテレーションが2週間なら月次の報告ではアジャイルのプラクティスを正しく実践できません。

その他の選択肢は、アジャイル型アプローチに沿っていないので誤りです。

プロジェクト・マネジャーが月次報告書の提出に同意してしまうと、ステークホルダーはアジャイル環境におけるプロジェクト運営のあり方を十分に理解できないことになります。プロジェクト・マネジャーはアジャイル型アプローチの狙いと特徴について説明し、定期的なイテレーション・レビューの重要性を強調すべきです。イテレーションが2週間なので月次レビューは適切ではありません。

理由

この問題の本質は、

ステークホルダーがアジャイルの進め方を十分に理解しておらず、
「月次報告書」という予測型(ウォーターフォール的)な成果物を要求している
という点です。

アジャイルにおける進捗報告は「ドキュメントではなく、実際の成果(ワーキングプロダクト)」によって行うのが原則。
したがって、まずはステークホルダーにアジャイルの考え方を理解してもらうことが必要です。


🧭 PMBOK/アジャイル実務ガイドの観点

PMBOK第7版・アジャイル実務ガイドでは次のように述べています:

アジャイルアプローチでは、価値のある成果物を定期的に提供することで進捗を可視化する。
ドキュメントによる報告ではなく、ステークホルダーをレビューに参加させ、
透明性・検査・適応(Transparency, Inspection, Adaptation) を通じて進捗を確認する。

つまり、報告書を作るよりも、
ステークホルダーに「レビュー会で実物を見てもらう」方がアジャイルの原則に沿っています。

ただし、いきなり「報告書は出しません」と言うのではなく、
まずはステークホルダーにアジャイルの目的・進捗の見せ方・参加方法を教育・説明するのが正しいステップです。
このための行動が「コーチングとメンタリング」です。


❌ 不正解の選択肢の理由

「月次のイテレーション報告書の作成をチーム・メンバーに指示する」

  • チームの負担が増え、付加価値のない作業を生みます。
  • アジャイルの原則(価値の最大化、不要な作業の最小化)に反します。

「月次報告書を作成してステークホルダーに送付する」

  • 一見、要求への「迎合」に見えますが、アジャイル文化を歪める結果になります。
  • 報告書ではなく、レビュー参加による実物確認が本来の形です。

「ステークホルダーに月次でイテレーション・レビューに参加してもらう」

  • 最終的には理想的な状態ですが、まず教育と合意形成が必要です。
    いきなり出席を求める前に、「なぜそれが重要なのか」を理解してもらう必要があります。

💡 PMP試験の判断ポイント

状況最初にすべき行動
ステークホルダーがアジャイルを理解していない→ 教育・コーチング・メンタリングを行う
ステークホルダーがアジャイルを理解しているが不満を持っている→ レビューやデモに巻き込む(参加促進)
ステークホルダーがプロセスを拒否している→ プロダクトオーナーやスポンサーと連携して再調整する

🧩 まとめ

ステークホルダーが「月次報告書」を要求してくるのは、
アジャイルの透明性やレビューの仕組みを理解していないサイン。

プロジェクト・マネジャーはステークホルダーにアジャイルの方法論に関するコーチングとメンタリングを行い、
実物による進捗共有の価値を理解してもらうべき。

これが、アジャイル原則「個人と対話・動くソフトウェア・顧客との協調」に最も沿った対応です。

フルレングス試験1 (日本語) 146

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