プロジェクトの目的に疑問を抱いているステークホルダーが、最終成果物に影響を及ぼす可能性のある新しいプロセスを評価するためにプロジェクトの途中で一時中断したいと言い出しました。PMが真っ先に取るべき行動の1つはどれでしょうか?「プロジェクト・スポンサーと相談して今後の方策と新しいプロセス候補を決める。」「権力と関心度のグリッドを使ってこのステークホルダーのプロジェクトへの影響力を明らかにする。」「このステークホルダーと受入基準を確認して品質レベルが適切かチェックする。」

→権力と関心度のグリッドを使ってこのステークホルダーのプロジェクトへの影響力を明らかにする。

権力と関心度のグリッドは、「プロジェクトへの影響力」と「プロジェクトから受ける影響量」に応じてステークホルダーを分類するツールです。「権力」には、プロジェクトの成果をはじめ計画や変更の決定権限などが含まれます。「関心度」が高いステークホルダーは、プロジェクト・オーナーはもちろんですが、プロジェクトの成果物のユーザーや、そのプロジェクトと資源を取り合っている別のプロジェクトや部署の人が含まれます。プロジェクト・マネジャーは、当該ステークホルダーの権力と関心度に応じて、相手の懸念に対応できます。

その他の選択肢は誤りです。いずれも、ステークホルダーの権力と関心度を評価した上で行うことです。

理由

この問題の核心は、「プロジェクトの途中で中断を提案してきたステークホルダー」にどう対処すべきか、という点です。
PMBOK的に言えば、これは ステークホルダー・エンゲージメント・マネジメント(Stakeholder Engagement Management) の領域です。

プロジェクト中断を求めるというのは、影響力の大きなステークホルダーが関わっている可能性が高く、
まずすべきは、

✅ その人物の影響力・関心度を把握し、適切な対応レベルを決めること。

これを行うためのツールが
「パワー/インタレスト・グリッド(Power–Interest Grid)」 です。

この分析を通じて、

  • このステークホルダーがプロジェクトを左右できる立場か
  • 意見の背景に何があるのか
  • どのレベルの関与やコミュニケーションが必要か

を明確化し、次の対応(交渉・説得・巻き込み)を計画できます。

つまり、

いきなり行動を起こす前に「誰がどれほどの影響を持つのか」を把握するのが最初のステップ。


❌ 他の選択肢の誤りの理由

「プロジェクト・スポンサーと相談して今後の方策と新しいプロセス候補を決める。」

→ これは時期尚早です。
 まずは、どのステークホルダーがどれほど影響力を持ち、どの程度の懸念を抱いているかを理解する必要があります。
 影響力の小さい人物であれば、スポンサーを巻き込むほどの話ではありません。
 つまり「分析(Analyze)」の前に「対応(Act)」してしまう誤りです。


「このステークホルダーと受入基準を確認して品質レベルが適切かチェックする。」

→ これは品質マネジメントの話であり、本設問の主題(プロジェクト中断を求めるリスク対応)とは異なります。
 受入基準は成果物の品質確認プロセスの一部であり、
 「プロジェクトの目的や進行自体に疑問を抱いている」ステークホルダーへの対応としては不適切です。


💡 ワンポイントアドバイス

PMP試験では、

「誰かが不満・懸念・抵抗を示した」
ときのPMの最初の行動は、
必ずといっていいほど “理解”や“分析” です。

✅ いきなり行動・交渉・変更を提案してはいけません。

判断の順序は以下のように整理できます:

  1. Identify Stakeholders(特定)
  2. Analyze Stakeholders(分析) ←★この問題はここ
  3. Plan Engagement(関与戦略の策定)
  4. Engage(関与の実行)
  5. Monitor(監視と調整)

✅ まとめ

  • 正答:権力と関心度のグリッドを使ってこのステークホルダーのプロジェクトへの影響力を明らかにする。
  • 理由:中断要求という重大な懸念への対応には、まず影響力と関心度を把握し、関与戦略を決定する必要がある。
  • 誤答理由:他の選択肢はいずれも「分析前の行動」であり、時期が早すぎる。
  • ワンポイント
     💡 PMPの鉄則:「動く前に分析せよ」。
     ステークホルダー対応の第一歩は、“影響度を見極める”こと。

フルレングス試験2 (日本語) 122

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