→人と問題を切り離す。
→意見より動機に注目する。
プロジェクト・マネジャーは交渉する際に、「誰の意見か」よりも「どんな意見か」に着目すべきです。また対立を解消してWin-Winソリューションを得るためには、「意見」よりも「意見の背景にある動機」を見るべきです。
その他の選択肢は誤りです。政治的問題や経営陣の優先順位を重視する場合もあるでしょうが原則とは言えません。意思決定の委譲が有効な場合もありますがこれも状況によります。
理由(PMBOKおよび交渉理論に基づく解説)
この問題は、PMBOKやPMIの倫理・交渉スキル領域でよく問われる
「原則的交渉(Principled Negotiation)」=ハーバード流交渉術
の考え方に基づいています。
プロジェクト・マネジャーが複雑な利害関係者間の対立を調整する際に重要なのは、
感情や立場に流されず、客観的で建設的な交渉を行うことです。
✅ 正しい選択肢の理由
① 人と問題を切り離す(Separate the people from the problem)
- 理由:
感情的な対立や個人的な攻撃を避け、課題(問題そのもの)に集中するための原則です。
人間関係を損なわずに建設的な話し合いを進めるための基本。 - 効果:
相互信頼を維持しながら、協力的な解決策を模索できる。 - PM視点での実践例:
「あなたが悪い」ではなく、「この要件の優先順位について調整が必要ですね」と焦点を移す。
② 意見より動機に注目する(Focus on interests, not positions)
- 理由:
「立場(position)」=主張の表面、「動機(interest)」=その裏にある本音。
人の“なぜその要求をするのか”という背景を理解することで、**双方にメリットのある解決策(Win-Win)**を見つけやすくなります。 - 例:
「納期を延ばしてほしい」という立場の背後には、
「品質保証のための追加テスト時間が必要」という動機がある。
→ 動機を理解することで、代替案(外部テスター導入など)も検討できる。
❌ 誤りの選択肢とその理由
③ まずは政治的問題を優先する。
- 誤り理由:
政治的配慮を優先すると、公正さや客観性を欠き、組織文化に悪影響を与えるリスクがある。
PMは政治を扱うのではなく、バランスの取れた利害調整を行うべき。
④ 経営陣の優先順位を重視する。
- 誤り理由:
経営陣の要望は重要だが、それだけを優先すると他のステークホルダーの信頼を損なう。
PMは全体最適を目指すべきで、経営層の意向を絶対視するのは適切でない。
⑤ 意思決定をチームに委譲する。
- 誤り理由:
このケースは「ステークホルダー間の対立」に関する交渉であり、
PMの責務として自ら交渉戦略を立案・実行する必要があります。
委譲はリーダーシップではなく責任放棄にあたるケースです。
🟩 まとめ
| 区分 | 選択肢 | 正誤 | 理由 |
|---|---|---|---|
| ✅ | 人と問題を切り離す | 正 | 感情ではなく課題に焦点を当て、関係を損なわずに交渉を進めるため |
| ✅ | 意見より動機に注目する | 正 | 背景にある利害・目的を理解してWin-Win解決策を導くため |
| ❌ | まずは政治的問題を優先する | 誤 | 客観性を失い、公平な交渉にならない |
| ❌ | 経営陣の優先順位を重視する | 誤 | 他ステークホルダーの信頼を損なう恐れがある |
| ❌ | 意思決定をチームに委譲する | 誤 | PMの責任領域であり、リーダーシップの放棄となる |
💡 ワンポイントメモ:
PMBOKやハーバード流交渉の4原則のうち、この設問で該当するのは次の2つ:
- 人と問題を切り離す(Separate the people from the problem)
- 立場ではなく利害に注目する(Focus on interests, not positions)
👉 つまり、「感情」より「課題」、「主張」より「意図」を見るのがPMの正しい交渉姿勢です。
ミニ試験13(日本語)11

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