ある企業が重要な入札で、選定業者が契約不履行時に多額の損害賠償を支払う旨の違約条項を契約書に盛り込みました。中程度のリスクしきい値を設定している業者にとってこの入札は極めて魅力的です。業者のプロジェクト・マネジャーは、この入札にどのように応じるべきでしょうか?「リスクが大きいのでこの提案依頼(RFP)には応じるべきではないと経営陣に伝える。」 「リスクを転嫁するために保険に加入し、そのコストを予算に乗せるよう経営陣に伝える。」 「違約条項の件をリスク登録簿に記録し違約金を回避するために定期的にレビューする。」

→リスクを転嫁するために保険に加入し、そのコストを予算に乗せるよう経営陣に伝える。
リスクの転嫁には、脅威が発生した場合にその影響を第三者に移転することが含まれます。通常、脅威を引き受ける側にリスク・プレミアムを支払います。リスク転嫁にはさまざまなものがありますが、保険や契約履行保証などがその例です。契約書で特定リスクの負担を他者に移転する場合もあります。リスクの転嫁は、平均的なリスクしきい値を設定している場合に適した戦略です。

見積りを増額すれば失注の恐れがあります。
違約金だけを理由にリスクを回避するのは間違いです。平均的なリスクしきい値を設定しているこの業者にとってこの入札が魅力的なのでその機会を排除できないでしょう。
違約条項をリスク登録簿に記録しても解決にはなりません。

理由

このケースでは、契約書に**高額な違約条項(ペナルティ条項)**が含まれており、契約不履行時に大きな損害が発生するリスクがあります。
一方で、業者(プロジェクト実行側)は「中程度のリスクしきい値(リスク耐性)」を持つと設定されています。

つまり、リスクを完全に受け入れるには高すぎるが、入札自体は魅力的(利益が大きい)という状況です。
このような場合に最も現実的でPMP的に正しいアプローチは、
**リスク転嫁(Risk Transference)**を行うことです。

具体的には:

  • 契約上の損害賠償リスクを保険に加入することで第三者(保険会社)に移転する
  • その保険料コストを見積・予算に反映する

これにより、入札の魅力を維持しつつ、組織のリスク許容度を超えない範囲で対応できます。


❌ 他の選択肢が誤りの理由

「リスクが大きいのでこの提案依頼(RFP)には応じるべきではないと経営陣に伝える。」
→ “中程度のリスクしきい値”を持つ企業は、適切なリスク対応策を講じればこのような案件にも挑戦可能です。
リスクを理由に入札を辞退するのは過剰反応で、PMPのリスク対応戦略の原則にも反します。

「違約条項の件をリスク登録簿に記録し、違約金を回避するために定期的にレビューする。」
→ これは**リスクの受容(Acceptance)**にあたります。
しかし本件のように金額が大きく、組織のしきい値を超えるリスクは単なる監視では不十分です。
適切なのは、**リスク転嫁(Transference)**の戦略です。


💡 ワンポイントアドバイス

PMPでは、リスク対応戦略を次のように整理します:

リスク対応戦略概要
回避(Avoid)リスクの原因を排除して発生を防ぐ契約条件を変更して違約条項を削除する
転嫁(Transfer)リスクを第三者に移転保険加入、保証契約、外注契約
軽減(Mitigate)発生確率や影響を下げる品質管理を強化、冗長性を確保
受容(Accept)何もせず発生時に対処リスク登録簿で監視のみ行う

本問のように「中程度のリスク許容度」「高額な違約条項」「魅力的な案件」という組み合わせでは、
最も合理的なのは リスク転嫁(保険加入) です。

ミニ試験3 (日本語)3

コメント

タイトルとURLをコピーしました